廃プラスチックリサイクル問題を解決する、廃棄物固形燃料RPFとは?

数年ほど前から中国の環境規制により、国内で発生するプラスチックごみは行き場を失いかけています。
弊社は東京23区を中心とした廃棄物収集運搬及び処分リサイクル会社であり、年間数千トンもの廃棄物を適正に運搬・処分している会社です。
この記事に書かれている内容は以下の通りになります。
この記事を読むことで、廃プラスチックの適正な処分先、プラスチックごみがどのように処分されているのかを知ることができます。
最後まで読んで頂き、日頃身近に接するプラスチックごみ問題を考えてみてください。
【RPFとは?】
「RPF」とは 「Refuse derived paper and plastics densified Fuel」の略称であり、主に産業廃棄物のうち、マテリアルリサイクルが困難な古及び廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料です。
RPFは、石炭やコークス等、化石燃料の代替として、大手製紙会社、鉄鋼会社、石灰会社等の多くの産業で使用されています。
【RPFの特徴】(利用メリット)
(1)品質が安定
発生履歴が明らかな産業廃棄物や選別された一般廃棄物(分別基準適合物相当)を原料として使用しているため、品質が安定している。
(2)熱量のコントロールが可能
ボイラー等のスペックに応じ、古紙と廃プラスチックの配合比率を変えるだけで容易に熱量の変更が可能。
(3)高カロリー
原料として廃プラスチックを使用しているため熱量が高く、石炭及びコークス並みで化石燃料の代替として使用可能。
(4)ハンドリング性が良い
RPFは固形で密度が高いため、コークス、粉炭等と同等の利便性を持ち、貯蔵特性及び輸送効率にも優れている。
(5)ボイラー等燃焼炉における排ガス対策が容易
品質が安定し、不純物の混入が少ないため、塩素ガス発生によるボイラーの腐食やダイオキシンの発生がほとんどない。硫黄ガスの発生も少なく、排ガス処理が容易。
(6)他燃料に比較して経済性がある
現状で石炭の1/4~1/3という低価格な再生可能エネルギー。将来負担するであろう排出権購入の費用削減。灰化率が石炭に比べ1/3以下となるため、灰処理費が削減可能である。
(7)環境に優しい
総合エネルギー効率の向上と化石燃料の削減により、Co2削減等の地球温暖化防止に寄与。
【RPF諸元】
直径8mm~40mm 6,000kcal/kg:石炭相当 8,000kcal/kg
【RPF成形機のタイプ】
(1)フラットダイス方式
たくさんの吐出穴が開いている金属製の加熱式円盤台座(ダイス)の上を同じく金属製の回転式ローラーにより材料を粉砕しながら下に押し込み、圧縮・押出成形するタイプ。比較的、小径。10~20mm。成形(加熱)温度は80~110℃。
(2)リングダイス方式
たくさんの吐出穴が開いている金属製の加熱式円筒の中で金属製のローラーを回転させ、材料を粉砕しながら外側に押し込み、圧縮・押出成形するタイプ。中径。15~25mm。成形(加熱)温度は100~150℃。
(3)スクリュー方式
先端にたくさんの吐出穴が開いている金属製の円筒(先端のダイス部分が加熱部分)の中に金属製のスクリューあり、回転しながら圧縮・押出成形するタイプ。大径。30~40mm。成形(加熱)温度は120~170℃。
※いずれも、RPF化する前に「破砕処理」を行います。
【弊社のRPF】
弊社のRPF成形機は、「フラットダイス方式」を採用しています。
フラットダイス方式メリット
低温(80~110℃)で加熱するため火災の危険性が少なく、また臭いの発生も少ないのが特徴です。
フラットダイス方式デメリット
低温加熱のために濡れている原料を投入してしまうと水分が蒸発し切れず固まり難くなってしまう。
ダイスの上をローラーが転がる構造上、一度に大量の原料の投入ができないために製造能力が他の方式に比べて劣ってしまう点。とは言え、1日8時間稼働で5トン弱は製造可能なので問題はありません。
弊社のRPFになる原料の多くは、スーパーマーケットやオフィスビル、フィルム製造業からの綺麗なビニールや古紙とPETボトルのリサイクル処理の時に出るラベルがメインとなりますので、品質が安定しており販売先から高評価を受けております。
【RPF原料は何?】
【RPFの大敵とは?】
RPFは固形燃料なので最終的には焼却し、何らかの形で熱利用することになります。その際、金属類やガラス、陶磁器といった「燃えないごみ」はもちろんですが、「塩化ビニール」(塩ビ:PV、V)が含まれているビニール、プラスチック類もRPFには大敵です。
塩化ビニールは、焼却すると「塩素ガス」を発生させます。この塩素ガスは金属を腐食させる力が強いため、熱交換器に使われる金属製の細管や焼却炉の壁面にダメージを与え、莫大な費用をかけて作られた設備の耐用年数を大幅に縮めてしまうのです。
このため、ビニールやプラスチック類の受入れの際には、事前に塩化ビニールが基準値以内かどうかの検査(「蛍光X線検査機」による)をするとともに、製造されたRPFについても定期的に検査をして、品質の保持を行っています。
もちろん、この検査は弊社だけが行っているのではなく、搬出先(ユーザー:製紙会社)でも独自に行っており、我々RPF製造を行っている処理業者から搬入されたRPFの品質管理に目を光らせています。
万が一、塩素分が基準値を超えるようなことがあった場合は、そのRPFを製造した処理業者に対して原因の究明と再発防止対策を講ずるようにとの要請が来ますので、我々処理業者は排出事業者から持ち込まれる原料に細心の注意を払っていなければなりません。
【RPF焼却された後は・・・?】
RPFは、石油や石炭等の自然エネルギーの枯渇を防止するとともに、Co2の発生を抑えるという優れた代替燃料としてお役に立っていますが、実はそこで終わりではありません。
燃やした後の「灰」は、セメントを製造する際に行われる「焼成」という工程で使用され、セメントを構成する材料として生まれ変わるのです。
すなわち、排出事業者が出したプラスチックやビニール、古紙、繊維くずは、1度RPFとして燃料となり、その次にセメントとなって、皆様の働いているビルや橋梁等としてこの先、数十年~1世紀近くもの間社会のお役に立ち続けるのです。
【RPFのJIS規格化】
皆様も「JIS」という言葉をどこかでお聞きになったことがあると思います。「JIS」とは、工業標準化法に基づき、日本工業標準調査会の審議を経て、経済産業大臣が制定した「日本工業規格」のことです。
例えば、皆様がお使いのスマートフォンの「イヤフォンのジャック」やパソコンの「USB」の規格、もっと身近なところではネジの規格やコンセントプラグの規格等、その規格がバラバラだと困る物を国内或いは国際的に標準化している規格です。
(サイズだけでなく、安全性も規格化されています。)
実は、RPFも「JIS規格化」されているのです。
2010年に、「廃プラスチック再商品化手法の緊急避難的・補完的措置として位置づけられているPRFの品質等級等を規定することによって、品位の安定をはかり、燃料としての信頼性を確立し、貴重な国産燃料資源として普及する基盤を整えるために制定されました。(Z 7311:2010)
その品位の安定に必要なのが、同じJIS規格で定められた検査です。(引用規格)
検査は以下の項目があります。
・JIS Z 7302-1廃棄物固形化燃料 第1部:試験方法通則
ロットサイズ、サンプリング方法、試料調製方法の条件
・JIS Z 7302-2廃棄物固形化燃料 第2部:発熱量試験方法
高位発熱量(MJ/kg)を求めます。
・JIS Z 7302-3廃棄物固形化燃料 第3部:水分試験方法
質量分率(%)を求めます。
・JIS Z 7302-4廃棄物固形化燃料 第4部:灰分試験方法
質量分率(%)を求めます。
・JIS Z 7302-6廃棄物固形化燃料 第6部:全塩素分試験方法
質量分率(%)を求めます。
これらの厳格な検査によりRPFの品種及び等級が決められ、その品質に応じたユーザーに使用されているのです。
【RPFの品質】
・品種 RPF-coke 等級 –
高位発熱量(MJ/kg) 33以上
水分 質量分率(%) 3以下
灰分 質量分率(%) 5以下
全塩素分 質量分率(%) 0.6以下
・品種 RPF 等級 A
高位発熱量(MJ/kg) 25以上
水分 質量分率(%) 5以下
灰分 質量分率(%) 10以下
全塩素分 質量分率(%) 0.3以下
・品種 RPF 等級 B
高位発熱量(MJ/kg) 25以上
水分 質量分率(%) 5以下
灰分 質量分率(%) 10以下
全塩素分 質量分率(%) 0.3を超え0.6以下
・品種 RPF 等級 C
高位発熱量(MJ/kg) 25以上
水分 質量分率(%) 5以下
灰分 質量分率(%) 10以下
全塩素分 質量分率(%) 0.6を超え2.0以下
※弊社の製造するRPFは、「等級A」レベルの物です。
【RPFの未来予測】
RPFは、非常に優れた代替燃料であることはご説明してきましたが、地球温暖化のことを考えると「火力発電」「火力のよる熱利用」は無いに越したことはありません。
風力、波力、水力、地熱等の再生可能エネルギーインフラの普及、また、日本を含めた先進国ではガソリン車やディーゼル車からの脱却が叫ばれている昨今、RPFの使用も「火力云々」の一部として本来は歓迎されるべきものではないかも知れません。
しかし、全ての「火力系」施設を止める弊害もあるのです。例えば、「電力の安定供給」の観点からすると再生可能エネルギーのほとんどが自然現象由来のものである以上、天候等により発電ができない日が発生する可能性が考えられます。現代社会において、電力の安定供給は絶対に欠かせないものとなっているだけでなく、開発途上国の近代化、電気自動車等の普及に伴う電力の必要性・依存度が益々高まってくることを考えると再生可能エネルギーを補うためにも一部では存在し続けなければなりません。
別の視点からみれば、プラスチックやビニールといった石油由来の樹脂も私達の生活から排除することは不可能です。とある学者曰く「地球上の生物と水以外は全てプラスチックで代用できる。」とか・・・。そう言われて周囲を見渡してみると、我々の生活はプラスチックとビニールでできていると言っても過言ではないことに愕然とします。何とか、その使用量を削減できたとしてもプラスチック類の使用が無くなることはない以上は廃棄されるプラスチック類が無くなることもありません。
過去、これらは破砕し湾岸地域の埋め立てや山の中への埋め立て処分が主流でしたが、湾岸地域の拡張が頭打ちとなり、山中への埋め立ても環境問題・その他の理由で限界に達しつつあります。
こういった矛盾や葛藤は、消費・エネルギー問題と切っても切り離せられない課題であり、産業革命以降に人類が享受してきた「便利さ」「万能性」の裏返しとして、今まさに我々に突き付けられている喫緊の課題なのです。
さて、今後の私達は、石油等の化石燃料や石油加工製品からの脱却を行いつつも、安定性や衛生面、利便性を考慮していかなければなりません。一方で、極力発生を抑えつつも発生する再生できないプラスチックや古紙類を、ただ廃棄するのではなく有効利用することが真の意味での「物を大切にする」ということではないでしょうか。
再生可能エネルギーを補完するものとして、採掘した石油や石炭等を燃やすのではなく、廃棄せざるを得ないプラスチックや古紙類を燃やして利用するRPFはCo2の発生を30%近く抑制でき、焼却灰もセメントとして再利用できることを考えると、まだまだ知名度は低いものの「RPFの未来」は明るいのではないかと思います。
【RPF今後の課題とは?】
地球温暖化に対する国際的な条約である「京都議定書」(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議:COP3)が採択された1997年以降、大手の企業や工場では温室効果ガスの排出量削減を目標に様々な取り組みがなされており、RPFの使用もその一環として有力候補の一つでした。
しかし、RPFの熱利用においては専用の巨大かつ複雑な構造の焼却炉が必要であり、これを用意するには相応の経済力と用地の確保等といった問題を解決しなければならず、また現在では「JIS規格」されたとは言え原料の発生源が廃棄物由来のために品質の不安定さ拭い切れないために、思ったほどの稼働数にはなっていません。
せっかく優れた特徴のRPFであっても、その使用のハードルが高ければ利用の裾野は広がらず、裾野が広がらなければ知名度が上がらず、知名度が上がらなければ利用されないという悪循環によって「頭打ち」の感があります。今後、このRPFの利用を高めることは、環境問題解決の一助になるのではないかと信じているのですが・・・。
例えば、中小企業や病院、公共施設の自家発電機、温水プールや植物園、寒冷地における融雪装置、銭湯、ビニールハウスの熱源等々に利用されるようになればもっと需要が高まり、ただ単に埋め立て処分や焼却処分をするよりも地球環境に優しいのではないかと考えます。
ポイントは小型・安価で、塩素に強く、構造が単純かつ安全性が高いという点で、こういった装置ができ、前述の「JIS規格化」に合致したRPFが購入できるようになると上手くいけばホームセンター等で20㎏の袋でRPFが売られ、その袋ごと機械に入れてスイッチを押せばOKという時代が来るかも知れません。
「地球印 環境に優しいRPF燃料(Co2の発生3割カット) 20㎏入り 1,980円」なんてキャッチコピーで売られていたら、是非とも灯油の代わりに購入して頂けたら嬉しいと感じるのは私だけでしょうか。
【RPF工場見学】
このブログをご覧の産業廃棄物処理業者の皆様、弊社のRPFにご興味が御座いましたらお気軽に工場見学のお申込みをお願い致します。
もちろん、排出事業者様のご同伴も大歓迎です。
また、弊社のホームページでは、RPFの他にも発泡スチロール、PETボトルのリサイクル工程も動画でご覧頂けますので、是非そちらもご覧頂ければ幸いです。
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