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2021.02.13 業界情報

東京23区清掃工場について~清掃工場の役割と仕組み・可燃ごみ処分の流れ

清掃工場の役割と仕組み 可燃ごみの処分の流れ
・清掃工場(可燃ごみ処理)がどうなっているのかを知りたい
・あの煙突は何なのか・中はどうなっているのか?
・会社のごみ処理代を下げ経費削減に繋げたい
「燃えるごみ」は日常生活を営むうえで最も身近な存在だと思います。
そんな燃えるごみの処理を行っているのが、今回紹介する「清掃工場」になります。
23区には複数の清掃工場があり、学生時代の社会化見学などで見たことのある人は多いと思います。
少し想像してみてください、もし清掃工場がなかったら我々の生活はどうなるでしょう…?

悪臭の発生による生活環境の悪化
・害虫、ばい菌による伝染病の蔓延の恐れ
・埋立地がなくなり町中にごみがあふれる

現在の生活は清掃工場なしでは成り立たないことを理解して頂けると思います。
弊社は東京23区を中心とした廃棄物収集運搬及び処分リサイクル会社であり、年間数千トンもの廃棄物を適正に運搬・処分している会社です。
この記事の内容は以下のようになります。
このブログ記事では清掃工場について詳しく解説を行います。
清掃工場の仕組み・役割を理解することで、分別の知識も身に着きます。
分別が良くなればごみを削減することも可能となり、会社であればごみ処理代の経費削減にも繋がっていきます。
何よりもごみ削減は地球環境を守ることになります。これを参考にし、我々廃棄物業界に少しでも興味を持っていただき、環境不可低減につながれば幸いです。

清掃工場の役割としくみ

  ゴミ処理の流れ

ごみを焼却することにより、町中の衛生環境は守られることはもちろん、埋立処分量を削減することができます。

昭和の高度成長時代はそのまま埋め立てするという今では考えられないことをしていました。そのようなことをすれば当然衛生環境も悪くなり、埋立地もすぐにいっぱいになってしまいます。

ごみ問題を解決するために清掃工場が生まれ今日に至っています。東京の埋立処分場は今現在使用している場所が最後です。少しでも長く使用するためにも、私たち一人一人がごみの減量に努めなくてはいけません

廃棄物処理の流れ

廃棄物運搬

 清掃工場の主な施設

東京23区一部事務組合HPより

①廃棄物収集運搬

可燃ごみは市区町村や我々のような廃棄物許可事業者によって「収集運搬」を行い、清掃工場へ搬入されます。ちなみに、東京都ではごみを直接清掃工場に持ち込むことはできません。
家庭ごみであれば行政収集にて、民間会社であれば廃棄物許可業者に処理を依頼する必要があります。 

②廃棄物焼却

清掃工場に運ばれた可燃ごみは、800度以上の高温で燃やされます。
燃やすことで大きさが20分の1になります。
ごみを焼却することでばい菌や害虫、臭いの発生を防ぎ衛生的な環境を保つことができます。
清掃工場に休みはなく(点検は除く)24時間休みなく燃やし続けます

③排ガス・排水処理

ごみを焼却すると環境汚染の原因となる有害物質(ダイオキシンなど)が発生しますが、それらは清掃工場の設備できれいにしたあと、厳しい自己規制値を監視測定後、工場外に出していますので安心です。
また、有害物質が排出基準内値については外部に公表しており環境汚染対策を徹底しています。

④焼却灰のセメント化

ごみを焼却すると焼却灰となります。基本的には焼却灰は埋立処分場に運搬されますが、一部の焼却灰はセメント原料に生まれ変わります。その原料化も年々進められており、埋立処分量の削減に繋がっています。

⑤熱エネルギーの有効利用

ごみ焼却により発生する熱エネルギーで発電・熱供給を行っています。(サーマルリサイクル)ちなみに売電収入額は億単位となっています。熱供給については清掃工場近隣の温水プールなどに利用されるケースが多いです。

東京23区清掃工場一覧

東京23区清掃工場一覧

東京23区一部事務組合HPより

23区では現在、19工場稼働しています。
立地も地図をみるとよくわかりますが、都心にはほぼなく、海沿いや郊外にあるケースがほとんどです。

各場所によって大きさなども違うため、ごみ処理量も違います。清掃工場を1つ造るにはおおよそ、200~300億円ぐらいかかります。

耐用年数は25~30年ほどでその後、建て替えを行います。
今現在では2工場建て替え工事中です。(目黒・江戸川工場)

・1番大きい工場:「新江東清掃工場」
・1番小さい工場:「 渋谷清掃工場」
・1番古い工場:「有明清掃工場」(平成7年12月竣工)
・1番新しい清掃工場:「杉並清掃工場」(平成29年9月竣工)

清掃工場へ持ち込めないもの

ルール
清掃工場へ持ち込むことができないもの一覧清掃工場へ持ち込むことができない形状・寸法一覧
基本的な考え方として清掃工場は生ごみや紙くずなどの燃えるごみを受け入れる施設ですので、それ以外のものは受け入れできません。
東京都では燃えるごみ(一般廃棄物可燃ゴミ・不燃ゴミ)2種類あり、分別基準が若干異なります

 ①会社などから出る燃えるごみ事業系一般廃棄物)

 ②家庭から出る燃えるごみ(家庭系廃棄物)

廃棄物の種類

何が違うのか?

代表的なものは「プラスチック」の扱いとなります。家庭ごみではプラスチックは燃えるごみ扱いとなりますが、会社ごみ(以下事業系一般廃棄物)に関しては、燃えるごみではなく、産業廃棄物の扱いとなります。
▼産業廃棄物について詳しくは下記の記事をご覧ください。
   これだけは押さえるべき産業廃棄物の基本について
このように家庭ごみと会社ごみの分別基準は若干違うことがあるため、各区にて作成されている分別方法に従って正しくごみを出さねばなりません。
では実際清掃工場で発生している不適物搬入とはどのようなものなのか、次の項目で確認しましょう。

不適正搬入と復旧費用

ペナルティー

清掃工場は生ごみや紙くずなどの燃えるごみを受け入れる施設です。当然ですが、水銀ごみ(蛍光灯・電池など)、金属やガラスなどの焼却に適さない物などは受け入れできません。

しかしながら故意的に燃えるごみに混ぜてしまっているケースも少なからず発生しています。

場合によってはこれが焼却炉の故障の原因となり、多くの費用がかかってしまいます。(ここ数年では約約1億9千万円の費用を要した事例もあります)

不適正搬入物(例)


   不適正搬入物   不適正搬入物

   不適正搬入物 不適正搬入物 
清掃工場の停止期間と外注費用
東京23区一部事務組合HPより
修理に係わる費用はすべて税金ですし、無駄な費用は掛けたくもありませんね。
清掃工場では不適正ごみ搬入防止のために、定期的に搬入物検査を行い監視を行っています。このような展開検査において不適物が見つかった場合、必ずですがどこの誰が出したものなのか尋ねられます。
悪質な場合は持ち込んだ廃棄物業者だけでなく、ごみを出した者(「排出事業者」)にも損害賠償責任が及ぶ可能性があります。
▼排出事業者責任について詳しくは、下記の記事をご覧ください。
    知らないと恐ろしい排出事業者責任とは?
このような事態を防ぐためにも、各自治体の分別基準に基づき適切な分別を行い不適物を混入しないこと、また、民間会社であれば信頼できる廃棄物業者に委託することが必要です。

廃棄物処理量

上記グラフがここ数年の清掃工場の処理量をグラフ化したものです。ここ5年間ぐらい横ばい推移でしたが、昨年は近大きく減少しました。コロナ禍によって事業系のごみが一時は2019年比で60%ぐらいまで落ち込みました。自粛及び休業要請により、オフィスのテレワークへの切り替えが進んだことや、飲食業などのごみ量が減少したことが大きな要因です。
清掃工場のごみ量推移をみるだけでもコロナにより、世の中がどのように変化をしているかが見えてきます。
東京23区可燃ゴミ量推移
東京都23区における一般廃棄物の割合 過去5年
東京都23区における一般廃棄物の割合 2020年コロナ禍における

廃棄物手数料

お金と電卓

当然ですが、清掃工場に処分するにもお金がかかります。

家庭ごみ

東京都では家庭から出るごみに関しては無料(税金)となっています

事業系ごみ

少量であれば有料シールを張り行政回収してもらうことも可能ですが、基本的には我々のような廃棄物収集運搬業者へ委託し、運搬費+処理代を支払う形になります。
(▼少量排出事業者の処理方法については詳しくはこちらをご覧ください)

    事業系ゴミの各区への委託処理について

清掃工場の処理料金は、23区の場合1㎏あたり15.5円(消費税込)です。
この料金に、我々の手数料(収集運搬料金)として1㎏あたり12~18円(消費税別)前後が上乗せされます。
合計で、27円ぐらいが平均相場だと思われます。


処理料金と収集運搬料金とを合計した1㎏あたりの単価の上限は40円(消費税込み)であり、特別な事情(分別作業が必要な契約体系や長距離の運び出しが必要な契約体系等の明確な上限超過理由が必要)がない限りは、これを超えての契約は違法となります。
また、以下のことにも注意が必要です。

40円という上限は決められていますが、一般的にこの金額でやっている業者さんはほぼいないとかと思われます。

また、余りにも低価格な処理料金の場合も不適正処分のリスク(不法投棄など)もあるので、見直しを行うことをお勧めいたします。

このような料金一つでも信頼できる処理業者かどうかを見極めることができます。

「一般廃棄物処理業者が一般廃棄物の収集及び運搬並びに処分を行う場合には、各区及び清掃一組が条例で定める収集及び運搬並びに処分に関する手数料の額に相当する金額を超えて処理料金を受けることは、法律で禁止されています。」廃掃法(法第7条第12項)

搬入計画

清掃工場にはどこでも搬入してよいわけではなく、1日あたりの搬入量や搬入場所などが決められています。
我々のような民間業者は決められた搬入先清掃工場や搬入量を違反しないようにルート設計を行います。

違反があれば最悪搬入停止という場合もあるため日々の運行管理をきちんと行うことが求められます。

いかがだったでしょうか、清掃工場の役割が認識できたと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

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廃棄物収集運搬なら利根川産業

利根川 靖

監修

利根川 靖

株式会社利根川産業の二代目経営者。業界歴20年で東京都廃棄物の組合理事も兼任。
廃棄物業界を盛り上げようと地方の業者と連携。得意分野はITツールにて生産性を高めること。
これからの若い人材が業界で働きたくなる魅力づくりに奮闘中。

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