産廃情報ネット
2021.05.17 業界情報

事業系一般廃棄物、排出事業者への立入検査への対応方法

別記のブログでご説明をした「再利用計画書」を提出した事業用大規模建築物(事業用の延べ床面積が1,000又は3,000平方メートル:区によって異なります。)へは、毎年或いは数年に一度、清掃事務所の職員による立入検査があります。

再利用計画書については、下記のブログをご覧ください。

提出した再利用計画書を基に、廃棄物の削減、リサイクル率の向上、リサイクル品(ユニフォーム、リサイクルペーパー、リサイクル事務用品の購入・活用)の使用状況等を確認しに来るのです。立入検査というと、皆様は緊張し、どんな準備や対応が必要なのか戦々恐々とされる方が多いと思われますので、ここでは対応方法をご伝授していきたいと思います。

自分で言うのも可笑しい話しですが、絶対に「ためになる」ので是非ともご参考にして頂ければと思います。

1 立入検査の目的

各区の「〇〇区廃棄物の処理及び再利用計画書に関する条例第〇〇条第〇〇項の規定」によって定められた事業用大規模建築物への立入検査であり、「大規模建築物=大量の廃棄物が発生」するという観点から、廃棄物管理責任者を選任して廃棄物の削減とリサイクル率の向上をさせようとするものです。

要するに、「大規模建築物は廃棄物をたくさん出すから、自分達で管理させて廃棄物を少なくさせれば、清掃工場に持ち込まれる廃棄物の量が減って税金の負担と清掃行政への負担が少なくなるだろう」という考え方で定めた制度です。

一般廃棄物のマニフェスト制度(日量100㎏又は月量3,000㎏以上の一般廃棄物を排出する事業者が対象)で廃棄物の管理をさせるのと同じですね。ここでのポイントは、立入検査の趣旨を理解しておくことです。事前に提出した「再利用計画書」を基に立入検査をしますから、前年度より廃棄物の発生量を減らし、リサイクル率を向上させておかないとネチネチと文句を言われますので注意して下さい。

2 立入検査の事前準備

廃棄物チェックリスト

①再利用計画書

事前に提出したものが必要です。廃棄物管理責任者以外の方が記入した場合は、コピーを必ず持っていて下さい。また、内容について逐一聞かれますので、しっかりと確認しておいて下さい。

②一般・産業廃棄物処理委託契約書

事業系一般廃棄物はもちろん、産業廃棄物の契約書も必要です。原本がない場合はコピーでも構いませんので必ずご用意下さい。また、各契約書に添付してあります「許可証」の有効期限をご確認下さい。もし、有効期限を超過していれば、立入検査当日に有効な許可証のコピーを入手しておいて下さい。

③一般廃棄物管理票(マニフェスト)と産業廃棄物管理票(マニフェスト)

一般廃棄物管理票を発行している場合は、ご用意しておいて下さい。過去1~2ヶ月分で結構です。

事業系一般廃棄物処理委託契約書の「予定排出量(月)が3,000㎏以上の場合は、一般廃棄物管理票の発行が義務付けられていますので、ご注意下さい。もし、実際の排出量が3,000/月を超えていない場合は、廃棄物業者と交渉して当該契約書を更新することをお勧めします。

一方で、産業廃棄物管理票については通常どんな業種でも発生していますので、「ありません。」は通用しません。

万が一、発行していない場合(紙の産業廃棄物管理票)は廃棄物業者に発行を依頼して下さい。電子マニフェストの場合は、その旨を伝えれば大丈夫ですが、念のために入力した控えをプリントアウトして一緒に綴じておけば、なお安心です。

こちらも、過去1~2ヶ月分で結構です。

④毎月の廃棄物数量報告書類

回収日毎の、回収品目・数量等を記載した廃棄物数量報告書が必要です。いい加減な廃棄物業者では、こういった廃棄物数量報告をしていないケースも聞きますが、大規模建築物(事業所)の回収を行っている廃棄物業者であれば、毎月、回収日と回収品目及び排出量の報告は送って来るはずです。

もし、送られてこない場合は、廃棄物業者に送ってもらう様にして下さい。この報告書が、再利用計画書に記入するベースとなっていることをお忘れなく。

⑤分別可能なごみ箱の設置

立入検査では「ごみの分別」に力を注いでいます。立入検査では、事務所・休憩室・各テナント・バックヤード等のごみ箱の設置状況とごみ庫の状況を確認します。
これは、正しい分別(可燃ごみと不燃ごみとリサイクル品を分ける)をすることで、清掃工場に持ち込まれる廃棄物の量を少なくすることを目的としているからです。

A)事務所の場合

例えば、事務所の机の横にあるごみ箱。普段はティッシュペーパーや丸めて捨てたコピー用紙、マスクが入っていたビニール袋等が一緒に入れられていますが、立入検査の職員はこれを突いてきます。彼らからすると、このままでは全てが可燃ごみとして清掃工場に持ち込まれる廃棄物になると考えるからです。

正解としては、

ティッシュペーパーは「可燃ごみ」
コピー用紙は「リサイクル」
マスクの袋は「不燃ごみ」(産業廃棄物)

対処方法としては、

事務所内の各机の横に4つのごみ箱があったとします。これを2個セットにし、2箇所に置くのです。
1つには「可燃ごみ」、もう1つには「不燃ごみ」(ビニール)と書いた紙やシールを貼り、「きちんと分別していますよ。」と主張しておきましょう。コピー用紙は丸めて捨てず、コピー機の近くに段ボール箱を置き、同様に「リサイクル用紙」と書いた紙やシールを貼っておきましょう。

もちろん、せっかく分別用の表示をしたのですから、きちんと表示通りにごみを分別していれなければなりません。

B)休憩室・食堂の場合

休憩室でも同様です。但し、休憩室は従業員の皆様が食事をしていますから、「可燃ごみ」、「不燃ごみ」、「リサイクル用紙」の他にも「弁当ガラ」、「缶」、「ビン」、「ペットボトル」といった品目毎のごみ箱の設置が必要となります。なお、缶・ビン・ペットボトルについては、自動販売機の横に設置してある専用ごみ箱に一緒に入っていても問題はありません。休憩室・食堂での「あるある」的な注意点をお教えします。

 

ア)おにぎりやサンドイッチを包んでいたビニールが可燃ごみに入っている。

  これは「弁当ガラ」です。

イ)割りばしとカップ麵のプラスチックカップが可燃ごみに入っている。

  割りばしは「可燃ごみ」、プラスチックカップは「弁当ガラ」です。

ウ)ビニール・ゴム手袋が弁当ガラに入っている。

  ビニール・ゴム手袋は産業廃棄物ですので「不燃ごみ」です。

エ)コピー用紙が可燃ごみに入っている。

  コピー用紙は「リサイクル用紙」です。

オ)せっかく分別用のごみ箱を設置したのに、検査の当日に混じっている。休憩室・食堂は社員以外のパートやアルバイトの方が利用します。家庭用と業務用の分別基準が違うことを知らない(忘れている)場合がありますので、普段から周知徹底を心がけて下さい。特に、たまにしか出勤しないアルバイトには、しっかりと説明をしておきましょう。

 

C)バックヤードの場合

バックヤードでは、仕事中で忙しいために分別が疎かになりがちです。特に、コピー用紙や紙のPOP等、本来はリサイクル可能な紙類を可燃ごみとして捨ててしまう事例が多く見られます。限られたスペースにいくつものごみ箱を設置するのは大変でしょうが、「A4」サイズの「リサイクル用紙」入れがあれば良いので何とか設置して、皆さんに分別の徹底の協力をして頂きましょう。

ちなみに、レシート(感熱紙)、複写式伝票(カーボン紙・ノンカーボン紙)、銀紙、蝋紙、汚れ・油の付着した紙はリサイクルはできませんので「可燃ごみ」です。また、お惣菜や鮮魚、精肉のバックヤードでは食品を包んでいたビニールやビニール袋が発生します。これは「弁当ガラ」ですが、一緒にビニール・ゴム手袋が入っています。前述の通り、ビニール・ゴム手袋は産業廃棄物なので「不燃ごみ」です。指先等に食品が付着していても弁当ガラと同じではありませんので、必ず別にして下さい。

その他、魚腸骨や脂は専門業者がリサイクルしますので、可燃ごみにしないで専用容器に入れましょう。

⑥ごみ庫への立入検査

事務所、休憩室・食堂、バックヤードからのごみが集まる所です。各部署で、きちんと分別されていれば問題はないのですが・・・、実際は分別が不充分なことが多いのが実情です。ごみを見れば、どの部署から出たものかが分かりますので、普段から周知徹底をして立入検査本番までに改善をしておきましょう。廃棄物の品目毎に置場を決め、「可燃ごみ」、「弁当ガラ」等のPOPを貼っておきましょう。

また、床の清掃を行い、臭いが無く清潔な印象を与えることも重要なポイントです。

忘れてはならないことと言えば産業廃棄物置場には「産業廃棄物保管場所」の看板の設置が義務付けられていますので、法令に沿った準備をしておきましょう。(看板を設置するだけでなく、記載が必要な情報もきちんと書いておきましょう。)

3 立入検査の流れ

①立入検査の趣旨の説明と書類の確認

立入検査に来た清掃事務所の職員は挨拶の後、立入検査の趣旨をします。その後、再利用計画書の確認と必要な書類が揃っているかの確認をします。

②ごみ箱、ごみが発生する場所、ごみ庫の確認

事務所、休憩室・食堂、バックヤード、ごみ庫、テナントがある場合にはテナントの一部に赴き、ごみ箱の設置状況・分別状況を確認しつつ写真を撮影していきます。

③検査後の説明

①、②が終わると、その状況の感想を述べつつ「立入検査報告書」の作成を行い、手渡され、改善要請等が行われます。問題が無ければ良いのですが、問題があると文句を言われてしまいます。清掃事務所の忙しさによっても異なりますが、問題がなければ次回の立入検査は2年以上先になり、問題があれば必ず毎年立入検査の対象となってしまいますので、気を付けて下さい。

④リサイクル品購入のお願い

立入検査の中で、清掃事務所の職員が「何かリサイクル品は使用していますか?ごみの減量にはリサイクルが有効なのでリサイクル品の使用を促進して下さい。」と質問等をしてきます。これは立入検査の趣旨とは直接関係は無いのですが、心象を良くするために予め確認をしておいた方が良いでしょう。

例えば、ペットボトル再生品のユニフォーム、リサイクルペーパー(コピー用紙、トイレットペーパー等)、発泡スチロールからできたボールペン等々、確認できている物を伝えれば結構です。会社の備品類ですから廃棄物管理責任者の一存で購入することはできないでしょうが、どの様な物にリサイクル品が使用されているかを知り、リサイクル品の種類を増やしていくことも環境問題的には良い事です。

4 立入検査での心構え

今まで述べてきました「分別の徹底」と「準備」が万全であれば、基本的には立入検査は大丈夫ですが、対応する廃棄物管理責任者と清掃事務所の職員とのやり取りの中で「ごみの減量」に積極的か否かも重要なポイントとなります。

とにかく「ごみの分別」、「ごみの減量」を積極的にしていますをアピールして下さい。清掃事務所の職員から見れば、「廃棄物管理責任者」となった方(店長や事務所の係長等)が無関心な様子では心象が良いはずがありません。

立入検査は避けられないものの、この立入検査が毎年になるか3年或いは5年に1度になるかは廃棄物管理責任者の対応次第であり、「ここは大丈夫。」と思わせることが最大のポイントです。くどい様ですが、「ごみの分別」ができていなければ論外ですので、従業員の皆様への指導と協力を徹底して下さい。

 

5 廃棄物業者に協力を求める

契約

初めて経験する、地方から異動してきた、分別の方法が今一つ理解できていない、まだ廃棄物管理責任者の講習も受けていない等々、立入検査に不安を抱えている方は多いと思います。そんな時は、ごみのプロである廃棄物業者に協力を求めてみましょう。清掃事務所から立入検査のお知らせが届いたら、まずは廃棄物業者に連絡してみましょう。立入検査の数日前にお伺いし、現状の把握、問題点の指摘、事前の準備の方法等を打ち合わせておけば、安心感が違います。

この時、間違っていた分別方法の改善や従業員の皆様への周知徹底等のできるので一石二鳥です。更に、可能であれば立入検査の当日も一緒に立ち会ってもらっても良いでしょう。立入検査開始の少し前に現地入りし、再度現場の確認をしておけば準備は完璧ですね。但し、過去の経験から「数日前に打ち合わせしたのに・・・。」というくらいに当日も分別が滅茶苦茶、分別の貼り紙やPOPの準備もできていないケースがあります。立入検査開始の時間までに立て直せれば良いのですが、間に合わなければ「お手上げ」です。廃棄物管理責任者様もお忙しいとは思いますが、ご自分の会社或いは店舗のことなので、しっかりと準備をなさって下さい。