産廃情報ネット
2021.07.01 業界情報

ペットボトルリサイクルの課題とその解決方法であるボトルtoボトルを解説|日本の回収率や各メーカーの工夫は?

今一番の話題、ボトルtoボトルへの流れ加速 ペットボトルからペットボトルへ水平リサイクルとは?

ここ数年、飲料メーカー各社が競うように「BtoB(ボトルtoボトル)」を掲げ、発表や実証が相次ぎました。市場は華やかに見えましたが、現場では熱狂が一巡し、落ち着きの局面に入っています。その背景には、安定供給に必要な回収量と品質のギャップ、食品グレードを満たすための高度な選別・洗浄コスト、物流・エネルギー価格の上昇、トレーサビリティ体制の負荷など、地味だけれど避けられない課題が浮き彫りになりました。

弊社は東京23区を中心とした廃棄物収集運搬及び処分リサイクル会社であり、年間数千トンもの廃棄物を適正に運搬・処分している会社であり、首都圏全般の事業系ペットボトルを多く扱うリサイクラーでもあります。

今後ペットボトルに関してはSDGsなどサスティナビリティーの観点から、環境だけではなく経済の観点からも持続可能な取り組みを続けてほしいものです。

ペットボトルをリサイクルする際の問題点

まず、ペットボトルをリサイクルする際の問題点について紹介します。
具体的には、下記の3つがペットボトルをリサイクルする際の問題点として挙げられます。

  • ペットボトルの回収コストがかかる
  • ペットボトルの他に異物が混ざる
  • ペットボトルのラベルを剥がすことが面倒

ペットボトルをリサイクルすることは限られた資源を活かし、地球を守ることに繋がりますが、問題も抱えています。
次に、それぞれの問題点について、詳しく解説します。

ペットボトルの回収コストがかかる

ペットボトルをリサイクルする際には、回収するためのコストがかかってしまう点が問題点として挙げられます。
ペットボトルを回収する際にはゴミ回収のための人件費や、ゴミ収集車の燃料費などがかかってしまいます。

また、ペットボトルを定期回収してもらう際には、ゴミ収集業者と定期回収の契約を結ぶための費用も必要です。
環境を守るために大切なことであるものの、ペットボトル回収にかかるコストは自治体や事業者が負担しなければなりません。

ペットボトルの他に異物が混ざる

ペットボトルをリサイクルする際には、ペットボトル以外の異物が混ざってしまう点も問題点として挙げられます。

ペットボトルのリサイクルボックスで回収するのはペットボトルだけが望ましいものの、中にはビンや燃えるゴミを混ぜて排出する方がおられます。
ペットボトルの中に異物が混ざってしまうと、本来必要のない分別作業が発生したりそもそもリサイクルができなくなったりしてしまうため、大きな問題になっています。

ペットボトルのラベルを剥がすことが面倒

ペットボトルをリサイクルする際に、ラベルを剥がすことを面倒と感じる方も多いのではないでしょうか。特に、ペットボトルが複数本ある場合は時間がかかってしまいます。
ペットボトルをリサイクルする際は、基本的にラベルを剥がすことが推奨されています。

近年では、ラベルが貼られていないラベルレスボトルが活用されているものの、ペットボトルのラベルを剥がす作業は面倒なためペットボトルリサイクルの課題として捉えられています。

弊社のペットボトルリサイクルについて紹介

下記の動画では、ペットボトルリサイクルの詳しい方法を紹介しています。
利根川産業でリサイクルを行うメリットや具体的なリサイクルの流れも解説しているので、業者選びがスムーズになるのではないでしょうか。

利根川産業でペットボトルリサイクルを行うメリットは以下の3つです。

  • キャップとラベルを完全フレーク化できる
  • フレークを100%国内化繊メーカーに販売している
  • 再生品でありながらバージン同様の品質で、様々な実用品へリサイクルできる

利根川産業では、ペットボトルと一緒にキャップやラベルを同時にリサイクルすることが可能です。そのため、キャップやラベルの分別作業をしていただくことが不要といった特徴があります。
さらに、ペットボトルフレークを100%国内の化繊メーカーへ販売しているため、資源利用の面で無駄がありません。利根川産業で処理するペットボトルは全てリサイクルされているため、環境への不可が少ないと言えます。
また、フレークの品質も高く、バージン同様の品質で服やタオルなどの様々な実用品へ加工することができる点も利根川産業でペットボトルリサイクルを行うメリットです。

お問い合わせは下記のバナーをクリックし詳しい情報をお知らせください。

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【最新】日本のペットボトルリサイクル率は85%

PETボトルリサイクル推進協会の「PETボトルリサイクル年次報告書2024」によると2023年度の日本国内のペットボトルリサイクル率は85%でした。

自主行動計画2025では、従来の3Rの目標に加え、「水平リサイクルの推進」、「有効利用率」、「環境配慮設計の充実」などの新たな目標を設定いたしました。

水平リサイクル

2030年度までにボトルtoボトル比率50%を目指す

ボトルtoボトル比率:33.7%

有効利用率

2030年度までにPETボトルの100%有効利用※を目指す

PETボトル有効利用率:98.6%

※有効利用:リサイクルに熱回収を加えたもの


一方で、欧州のリサイクル率は42.7%(2021年度)、米国は19.6%(2021年度)しかリサイクルがされていません。
日本は世界でトップクラスにペットボトルのリサイクル率が高い国と言えるでしょう。

ペットボトルの特徴(ポリエチレンテレフタート)

特徴

ペットボトルの特徴は下記のようなものがあります。

・リサイクルできる環境にやさしい素材
・軽い
・加工がしやすく、サイズが豊富
・何度でもキャップでき、持ち運びが容易
・食品衛生法に基づき企画適合して衛生的
・強くて丈夫、落としても割れにくい
・透明で美しく、中身が一目でわかる

ペットボトルリサイクル問題の解決策として注目されているボトルtoボトルとは

ボトルtoボトル

水平リサイクル~同じ材料を資源循環させる理想のリサイクル

  • 化石由来資源削減
  • CO2削減

リサイクルペットボトルは、新たに石油由来資源を使ってつくられるバージンペットボトルと比較して、約60%のCO2排出量の削減が期待できると言います。

ペットボトルリサイクルをボトルtoボトルで行う際の課題

課題

次に、ペットボトルリサイクルをボトルtoボトルで行う際の課題について解説します。

事業系ペットボトル回収量と品質の向上

事業系ボトル:自動販売機横ゴミ箱、工場、オフィス、サービス業、交通機関、教育機関など
異物:タバコ、酒類、生活関連、食品容器、食品、その他
状態:飲み残しのない、キャップ、ラベルが剝がされているもの

異物が混入すると、ボトルtoボトルへの歩留まりが悪くなります。異物や状態のよい綺麗なボトルを回収することが重要です。

全国清涼飲料連合会の目標

目標を定めました

一般社団法人全国清涼飲料連合会は、70の会員と240社からなる中小清涼飲料製造・販売業者・清涼飲料製造・販売業者の団体です。

資源循環、脱炭素、海洋プラスチック問題といった社会課題に対応するため、清涼飲料業界は、「2030年PETボトル100%有効利用宣言」
「2030年ボトルtoボトル比率50%宣言」を実施し、取り組んでいます。

2030年までにボトルtoボトル比率で50%を達成することを目標として宣言しています。

全国清涼飲料連合会の具体的な目標は以下の3つです。

  • 新たな化石由来資源の使用から地上にすでにあるものを水平リサイクルへ
  • 2020年のリサイクルPET樹脂使用率の業界平均は約12.5%
  • CO2削減を通じてカーボンニュートラルへ

カーボンニュートラルの詳しい説明は、以下の通りです。

カーボンニュートラルとは、ライフサイクルにおけるカーボン(二酸化炭素)の排出量を、ニュートラル(中立化)にすることを指します。簡単に言うと、地球上で生み出されるCO2(二酸化炭素)の量と、植物の光合成などによる二酸化炭素の吸収量を同じ量にして、実質的なCO2(二酸化炭素)排出量の「プラスマイナスゼロ」を目指す概念です。

20201026日、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする(※)、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。

環境省HPより

ペットボトルのリサイクル率を上げるための飲料メーカー各社の工夫

廃プラスチックのkgあたりの処分費は?

サントリーホールディングス

Suntory

  • 2030年までに、使用するすべてのペットボトルをリサイクル素材または植物由来素材100%に切り替えることを目標に掲げています。
  • 自治体や企業と連携し、リサイクルの啓発活動や回収スキームの構築を積極的に進めています。

関連リンク:Recycle:「ボトルtoボトル」水平リサイクルの推進

日本コカ・コーラ

コカ・コーラ ボトラーズジャパン ハッピーなひとときを、ボトルから。 | 彩の国工業団地連携協議会

  • 主要製品の容器に100%リサイクルPETボトルを導入しています。
  • リサイクルを促すための「リサイクルしてね」ロゴを商品ラベルや広告に表示し、消費者に協力を呼びかけています。

関連リンク:容器&リサイクル(循環型社会)|サステナビリティ

キリンビバレッジ

Vol.12 ラベルデザインの歴史|ヒストリークルーズ|キリン歴史ミュージアム

  • 再生PET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」の導入を進めています。

  • 他社や小売店との共同回収実証実験も行っており、消費者がペットボトルを返却しやすい仕組みづくりに努めています。

関連リンク:サスティナビリティ|容器包装の取り組み

アサヒ飲料

アサヒグループHD、新グループコーポレートロゴ マークおよびコーポレートステートメントを策定|CreatorZine|クリエイティブ×ITの情報でクリエイターを応援するウェブマガジン

  • ケミカルリサイクル技術を積極的に活用し、ペットボトル以外のPET製品(フィルムなど)からも飲料用ペットボトルを再生する国内初の取り組みを進めています。
  • 2030年までに、ペットボトルを100%環境配慮素材に切り替える目標を掲げています。

 

関連リンク:ボトルtoボトル|環境|社会との約束

ボトルtoボトルを推進する工夫

ラベルレスボトル

ラベルレスボトル

2018年にアサヒ飲料が業界に先駆けてネット販売用に水を販売したことから始まりました。

それ以降、ラベルの剥がす手間やプラスチック環境意識などの高まりから徐々に広がりを見せています。2021年これまでラベルレス製品は、法定表示を外装ダンボールに記載していたため箱売り中心でしたが、タックシール採用で、ついにバラ売りできるようになりました。

アサヒ飲料ラベルレスボトル特集ページ

リサイクルしてラベルロゴ コカ・コーラー

100%リサイクルペット コカ・コーラ

上記の画像のように、ラベルにリサイクルを推進する文章が書かれています。

新デザイン、自動販売機横リサイクルボックス

今一番の話題、ボトルtoボトルへの流れ加速 ペットボトルからペットボトルへ水平リサイクルとは?

自動販売機横回収ボックスの入り口を新しいデザインとして異物混入防止策を図り、異物の混入率が43%から29%へ大幅に減少しました。

まとめ

17の持続可能な開発目標

昨年の菅首相が国会の所信表明演説において2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすると宣言しました。そこからSDGsを含め環境活動にスポットライトが当たるようになったと感じています。実際の肌感としてお取引先からSDGsに関する相談も増えてきました。

飲料容器として広く普及しているペットボトルは、そのわかりやすさからもっともリサイクルに適したプラスチックの一つです。プラスチックは何種類もの素材がありリサイクルには各種素材ごとに分別することが必須となります。ボトルtoボトルを業界目標の50%に達成させるためにはまだまだ乗り越えなくてはいけない壁が多いのではないでしょうか。

回収率は93.0%と世界的に見ても高水準であり、リサイクルの基盤はできています。排出別割合の54%を占める事業系ボトルをいかに生かしていくかにかかっています。

弊社は事業系ボトルを多く扱っており、品質も千差万別です。お客様(収集運搬業者様)にもご協力いただき、異物の混入を最小限にとどめていただき高品質なペットボトルフレークの製造を行っております。主力は繊維ルートですが、ボトルtoボトルルート、シートルートとペットボトルにおける全リサイクルルートを確立しております。

家庭からだけでなく、仕事場、公共施設などにおける個人の意識を高め分別の徹底、排出方法の工夫、技術の発展などを通じて循環型社会への貢献とCO2を含む環境負荷低減に向けて取り組んでいかなくてはいけません。

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利根川 靖

監修

利根川 靖

株式会社利根川産業の二代目経営者。業界歴20年で東京都廃棄物の組合理事も兼任。
廃棄物業界を盛り上げようと地方の業者と連携。得意分野はITツールにて生産性を高めること。
これからの若い人材が業界で働きたくなる魅力づくりに奮闘中。

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