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2021.01.03 法令情報

「事業系廃棄物」担当者必見、知らないと恐ろしい排出事業者責任とは?

排出事業者責任

このブログを読むことで、「事業系廃棄物」の押さえるべき基本「排出事業者責任」について学ぶことができます。

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第3条第1項において、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」とされており、また、同法第11条第1項において、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」とされています。

排出事業者責任

 廃棄物処理業者に産業廃棄物の処理を委託した場合であっても、排出事業者に処理責任があることに変わりはありません。

 廃棄物処理法第12条第7項では、「事業者は、産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない」とされています。

不適正な処理を行う廃棄物処理業者に委託していたことが明らかになれば、排出事業者も廃棄物処理法の措置命令の対象なる可能性があるとともに、社名が公表され、コンプライアンスを充分に果たしていない業者として社会的な評価を落としかねないリスクを充分に認識する必要があります。

つまり、廃棄物の処理義務・処理責任は排出事業者にあって、その処理を業者に委託したとしても、適正に処理されなければ排出事業者の責任は付いて回るということです。ここでいう「責任」とは、廃棄物処理法や各種環境法令、刑法等の実刑や罰金の支払いだけでなく、後述の不法投棄の撤去や処理に関わる費用の負担も含まれます。 

また、それら行政措置だけでなく、実名報道等をされることによって社会的な企業イメージの悪化による経営の危機に追い込まれることもあり得ることを認識しましょう。

不法投棄の状況(環境省ホームページより抜粋)

不法投棄の新規判明件数は、ピーク時の平成10年代前半に比べて(平成10年度は1,197/120万トン)、大幅に減少しており、防止対策や企業の社会的責任の意識向上により、一定の成果が見られる一方で、平成30年度で未だに年間155件、総量15.7万トン(5,000トン以上の大規模事案4件、計13.1万トン含む。)もの悪質な不法投棄が新規に発覚し、跡を絶たない状況にあります。

不適正処理についても、平成30年度で年間148件、総量5.2万トン(5,000トン以上の大規模事案2件、計1.3万トン含む。)が新規に発覚しており、未だに撲滅するには至っていません。

また、平成30年度末における不法投棄等の残存事案は2,656件報告され、残存事案に対する都道府県等の対応としては、現に支障が生じている13件については、支障除去措置を実施又は実施予定であり、現に支障のおそれがある90件については、支障等の状況により何らかの措置を実施また、実施予定になっています。

不法投棄・不適正処理の事例

(1)豊島事件

香川県にある瀬戸内海の豊島(てしま)に産業廃棄物が大量に不法投棄された事件。当時は「国内最大規模の不法投棄事件」として有名になりました。同島にあった産業廃棄物処理業者が、1975年後半から1990年にかけて許可を受けていないシュレッダーダストや廃油、汚泥等の産業廃棄物を搬入し、敷地内で野焼き等を行い、それらを埋めていたという事件。およそ、92万トンの廃棄物の処理は現在も行われており、土壌汚染や水質汚染も深刻な問題となりました。また、それらの処理費等は膨大で、一説のよると約770億円とも言われています。

(2)青森・岩手県境不法投棄事件

1990年代後半頃から青森県の産業廃棄物処理業者が、自らの私有地である青森・岩手県境の原野に産業廃棄物を不法投棄していた事件。青森県側だけでも前述の「豊島事件」を超える、およそ115万トンの廃棄物があったといわれ、現在も原状回復作業が続けられています。この事件の注目すべき点は、不法投棄された廃棄物の9割近くが首都圏からのものであり、判明しただけでも排出事業者は12,000社にも及んでいます。都会の産業廃棄物が地方の山中に不法投棄されている典型的な事例です。

(3)食品廃棄物不正転売事件

平成281月に愛知県の産業廃棄物処理業者が、大手有名外食チェーンの食品廃棄物を処理せず、不正に転売していたことが発覚した事件。土壌汚染や水質汚染といった大きな環境問題にはなりませんでしたが、有名外食チェーンが関連し、食の安全性が脅かされた事件として連日、テレビの報道番組でも取り上げられました。被害にあった大手外食チェーンには概ね同情的な報道が多かったものの、一部では「排出事業者責任はどうなっているのか。」という批判があったことも事実です。

排出事業者が確認すべきこと

廃棄物処理法でいくら「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」とされていても、実際にご自分で処理をできる方は殆どいらっしゃらないと思います。必然的に廃棄物は処理業者に委託することとなりますが、委託してもその処理業者が不適正処理を行えば、責任は排出事業者にも及んできます。そういうことにならないように、信頼できる廃棄物処理業者を見極める上で重要なポイントをご紹介します。

1)契約書等の書類

廃棄物の処理委託業務で必要な項目は、大きく分けて下記の項目です。
 ①契約書 ②マニフェスト ③数量報告書類
これらをきちんと取り交わしている、或いはきちんと報告がされているかどうか。

2)回収スタッフの態度

皆さんの廃棄物置場に回収に来ているスタッフの態度(挨拶、服装等)はどうですか。きちんとした教育訓練を行っている会社であれば、必ずきちんとしています。

3)回収車両の状態

回収に来るスタッフ同様に、回収車両の状態も重要なポイントです。きちんと洗車してある、あちこちぶつけていない、改造していない、走行中は後ろのシャッターを閉めている等に注意して見てみましょう。

4)営業マン・事務員の対応

問い合わせや問題が起きた時、その方達の対応は満足いくものでしたか。きちんとした会社であれば、例え問題が起きたとしても充分な説明や迅速な問題の解決を行ってくれるはずです。

5)工場(事業所)見学時の状況

排出事業者責任の一環として、処理業者の工場見学等に行った際は下記のポイントをよくチェックしましょう。
 ①敷地内に余計な物品が散在していない。(ごみを含む。)
 ②悪臭がしていない。
 ③ヘルメットを被っている。
 ④周辺を含めた排水溝等が詰まっていない。
 ⑤処理工程の説明がきちんとしている。
 ⑥処理機器の整備・点検をしている様子が伺える。
 ⑦書類や伝票関係の提示をした時にすぐに出てくる。

6)適正な処理費用

他社と比較して明らかに安価な処理費用を提示してくる業者は、不適正処理の温床であると環境省は言っています。また、明らかに安価な処理費用を認識している排出事業者の廃棄物が不適正処理をされていた場合、その排出事業者責任は重いものになるとも言っています。新規で処理業者と委託契約する際には、複数の業者から見積もりを取り、おおよその価格(単価)を知っておくのも良いでしょう。

具体的な罰則についてはこちら「これだけは押さえるべき「廃棄物処理法」の基本についてをご覧ください。
    

排出事業者責任:思わぬ落とし穴の事例 その1

事業系一般廃棄物(いわゆる「可燃ごみ」)の生ごみの「水分」はどうしていますか。

野菜等に含まれている自然の水分は仕方がないのですが、袋からの液体の絞り出しが不充分だったり洗う等の作業により余分な水分が付着したまま捨ててしまうと思った以上に水が出てしまいます。事業系一般廃棄物の回収車両(塵芥車)には、「汚水タンク」と呼ばれる廃棄物から出た水分を溜めるタンクが装備されているものの、余分な水分を溜められるほど大きくはないのです。

以前、この余分な水分が多い廃棄物を回収していた業者の運転手が、汚水タンクから溢れることをおそれ、道路の側溝に不法に捨てていたという事例がありました。(毎回同じ場所で捨てていて、近隣住民からの悪臭による苦情で発覚)

この件は、運転手の独断で行った公算が強いとされましたが、処理業者も行政処分の対象になりました。幸い、明らかな実被害(下水に捨てたため、水質汚濁や土壌汚染等の被害が確認できず)が出なかったために排出事業者責任までは問われなかったものの、汚水の投棄は明らかに廃棄物処理法違反であり、ひとつ間違えれば「水分が多い廃棄物を出した。」として排出事業者にその責任があったかも知れないのです。

「まさか!?」と思うかも知れませんが、可燃ごみを搬入する「清掃工場へ持ち込むことができない物」として

東京二十三区清掃一部事務組合廃棄物処理条例施行規則第8条第1項に「処理施設の管理運営に支障を来すおそれのある物」のひとつに「水分を多量に含んだ物」という規定があるのです。

決して行政の悪口を言うつもりはありませんが、行政処分をしようと思えば

①「清掃工場に入れられない水分を多量に含んだ物」を排出した
②「不法投棄をするような業者に委託した」

としていくらでも「しょっ引く」ことができるのです。廃棄物の水分をよく切ることは、こういった危険を防止するだけでなく、重い水分を取り除くことによって廃棄物処理の費用も安くなるというメリットもありますので、皆さんも是非取り組んで頂けたら幸いです。

 

排出事業者責任:思わぬ落とし穴の事例 その2

弊社のホームページの同ブログ「一般廃棄物とは」でもご紹介しましたが、同じ廃棄物であっても「業種」によって「一般廃棄物」とされるものと「産業廃棄物」とされるものがあります。

例えば、スーパーマーケットから1300㎏の生ごみが出ていても、「事業系一般廃棄物」として清掃工場に搬入できますが、食品加工業から出る食品廃棄物は、例え110㎏でも「産業廃棄物の動植物性残さ」として、民間の処理施設に搬入しなければなりません。

この「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物の動植物性残さ」との処理料金とでは「2倍」以上の差がありますので、同じ廃棄物であれば「事業系一般廃棄物」として捨ててもらいたいのは、排出事業者としては当然のことです。しかし、廃棄物処理法で「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」とは厳格に区別されているため、例え見た目が同じでも排出事業者の「業種」が異なれば、法に順じた処理を行わなければなりません。(廃棄物の「不適正処理」に該当)

万が一、そういった「産業廃棄物」に該当する「業種」の工場等から「事業系一般廃棄物」の回収車両が出てきたのが区の関係者に見つかった場合、違法な行為が露見してしまうかも知れません。

小売業・サービス業でない皆さん(特に「〇〇製造」と謳っている会社)は、ご自分の会社が「日本標準職業分類」の「大分類:生産工程の職業」等に該当していないか、その工場から出される廃棄物が産業廃棄物として適正に回収・処理されているかを、もう一度確認なさることをお勧めします。また、食品以外にも「紙くず」や「木くず」、「繊維くず」等を捨てる場合も同様に「業種」によってその処理方法が異なりますので、ご確認をお願いします。

    

排出事業者責任:思わぬ落とし穴の事例 その3

近年、新聞やテレビ等でも取り上げられていたのでご存じの方も多いと思うのが、「清掃工場で水銀発生」というニュースです。

体温計や血圧計に使われている水銀は便利である反面、人体にとって有害な重金属でもあります。(明らかな原因は不明だが、可能性の一つとして体温計や血圧計が疑われている。)誤って清掃工場に持ち込まれ焼却されてしまうと、ガス化した水銀が清掃工場の煙突から大気中に放出され、近隣の重大な環境問題になってしまいます。

また、清掃工場はこの水銀を除去するために何日も稼働を停止しなければならず、停止期間中は我々収集運搬業者も他の清掃工場へ運搬が必要となり、お客様への約束の時間に遅延するなどサービス低下となります。また清掃行政に甚大な影響を与えるだけでなく、修復作業のも莫大な費用が発生してしまいます。当然、誰が捨てたかが判明すれば、行政措置だけでなくこの莫大な費用の請求も支払わなければならないことになります。小さいから影響はないだろう、面倒だから他のごみと混ぜても分からないだろうと思わずに、ルールを守って正しく捨てるということを厳守して下さい。

特に、新型コロナウィルスの影響で体温測定は日課の一つのなっており、使用頻度が増しています。そうなれば、破損の発生率が上がるのは勿論、電子タイプの体温計に買い替える等により水銀タイプの体温計を捨てる機会も多くなると思われますので、会社だけでなく、このブログをご覧の皆さんのご家庭においても充分なご注意をお願いします。

また、ガスが残っているスプレー缶(卓上コンロ用のガスボンベを含む。)、乾電池(リチウムイオン電池を含む。)、未使用の花火も同様に、適切な方法で処理を行わないと持ち込まれた処理施設や運搬の途中で重大な事故を起こす可能性がありますので、併せてご注意下さい。

 

事業活動に伴い必ず発生する事業系廃棄物(一般廃棄物及び産業廃棄物)ですが、自社の社会的責任も問われてしまいますのでお取引なさる廃棄物業者さんは「値段」だけではないいろいろな点を比較しご検討なさることをおすすめします。

 

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