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2021.07.17 業界情報

マイクロプラスチック、海洋プラスチック問題とは?

マイクロプラスチック、海洋プラスチック問題とは?

今回は、海洋プラスチック問題について触れていきたいと思います。

普段私たちが使っているプラスチック製のペットボトルや容器などは、ポイ捨てされたり適切な処分がされないことにより海に流され、海洋プラスチックごみになります。海洋プラスチックによるごみ問題とは、そうしたプラスチックごみが海洋汚染や生態系に及ぼす影響を問題視したものです。

軽量で加工がしやすく丈夫であることから、プラスチックはレジ袋やペットボトルのほかにも、プラスチック製のストローやスプーン、おもちゃや釣り糸などといったあらゆるものに利用されています。

海に流出するプラスチックごみの量は世界中で年間800万トンという試算や2050年には海洋プラスチックごみの重量が魚の重量を超えることが予測されています。

一度流出したプラスチックごみは、例えば海岸での波や紫外線等の影響を受けるなどして、やがて小さなプラスチックの粒子となります。5mm以下になったプラスチックは、マイクロプラスチックと呼ばれていますが、これらは、細かくなっても自然分解することはなく、数百年間以上もの間、自然界に残り続けると考えられています。

マイクロプラスチックとは

5ミリ以下の微細なプラスチックのことを指します。
マイクロプラスチックは、発生源の違いによって「一次マイクロプラスチック」と「二次マイクロプラスチック」に分けられます。

一次マイクロプラスチック

製造時点ですでに細かいプラスチックのこと。歯磨き粉や洗顔料に含まれるスクラブ剤やオシャレのために使われるグリッターなど、製品や製品原料として使用されることを目的に製造されたプラスチックです。非常に細かいため、回収や製品化された後の対策が難しいことが特徴です。排水溝等を通じて自然環境中に流出。

二次マイクロプラスチック

ポイ捨てや埋立地で、ペットボトルやビニール袋などのプラスチック製品が、太陽の紫外線、波の作用や岩・砂などのなんらかの外的要因によって劣化し、細かくなったプラスチックのこと。こちらは、もともと小さいものではないので、ごみの発生を抑制し、マイクロ化する前であれば、ある程度の対策も可能です。

2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超える―― 2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)での試算をきっかけに、この文言は、さまざまな報道においてセンセーショナルに使われています。

海洋プラスチックの問題点

問題点

海洋生物への影響でしょう。ポリ袋などは、海鳥や魚、海洋哺乳類などがエサと間違えて食べてしまいます。プラスチックは体内で消化されないため、内臓を傷つけ、炎症反応や摂食障害、窒息や腸閉塞を起こして死んでしまうという事例が後を断ちません。

海洋プラスチックの人体への影響

海洋生物が体内に取り込んだマイクロプラスチックは細かな粒子であり、分解されないため体内に蓄積されている可能性があります。マイクロプラスチックを飲み込んだ海洋生物が市場に出回れば、それらを口にする私たちの体内にもマイクロプラスチックが入り込む可能性があります。

海洋プラスチック排出国ランキング

世界地図

1位 中国 132353万 t /
2位 インドネシア 48129万 t /
3位 フィリピン 2875万 t /
4位 ベトナム 2873万 t /
5位 スリランカ 2464万 t /

 20位 アメリカ 411万 t /

30位 日本 26万 t /

整備がなされていない発展途上国が上位にランクされています。

海洋プラスチック問題が起こる原因

プラスチックの生産量は、去50年間で20倍に拡大。産業別の生産量では、容器、包装、袋などのパッケージが36%と最も多い。特にペットボトルやレジ袋、食品トレーなど一度利用されただけで捨てられてしまう「使い捨て用」(ワンウェイ)に使われることの多いパッケージ用のプラスチック生産が、プラスチックごみの量を増やすのに大きく影響しています。

このパッケージ用プラスチックでリサイクルされている割合は14%しかありません。拡大し続けるプラスチックごみに、リサイクルや焼却処理、埋め立て処理が追い付かず、適切に処理されないプラスチックや意図的にポイ捨てされるプラスチックの一部が川や海岸から海に入り込みます。

上記のランキング結果にもある通り、東南アジアが1-4位を占めており、日本国内のプラスチックリサイクルの多くは海外輸出に頼り切ったリサイクル手法をとっていました。中国東南アジアなどの発展途上国は、先進国のごみを受入、大きな環境問題へと発展していきました。そこで中国は2017年廃プラスチックの輸入規制を実施しました。

中国は、これまで世界から年間約700万トンのプラスチック廃棄物を輸入。⽇本は、年間約150万トンのプラスチックくずを海外に輸出。このうち、約75万トンが中国向け。

2021年バーゼル法改正でプラスチック規制開始

今年からバーゼル条約に「汚れたプラスチックごみ」が追加されたのだ。2021年からの運用が予定されている。ただし今回の改正では、汚れたプラスチックごみの輸出が禁止されるわけではない。輸出する場合、相手国の同意が必要となる。

 ※バーゼル条約とは?

バーゼル条約とは、有害廃棄物の国境を超える移動や処分を規制したルールである。

  • 有害廃棄物の削減・適切な処理の推進
  • 先進国から発展途上国への、一方的な有害廃棄物の持ち込みの阻止
  • 有害廃棄物が国境を越えて移動する場合の規制

1989年3月に条約は採択。スイス・バーゼルでおこなわれたことから、条約名にスイスの地名が使われている。実際にバーゼル条約の効力が発生したのは、1992年5月5日。日本がバーゼル条約に加盟したのは、1993年のことだった。

海洋プラスチックを解決するには

結論

3R(リデュース、リユース、リサイクル)の実施です。

詳しくはこちらのブログもご覧ください。

特に、使い捨てプラスチックや過剰包装などを減らすことが重要です。世界に遅れること2020年夏よりようやくレジ袋も有料化となりましたね。エコバックの利用、海岸清掃活動に参加する。個人としてできることから始めてみてはいかがでしょうか。

 

利根川 靖

監修

利根川 靖

株式会社利根川産業の二代目経営者。業界歴20年で東京都廃棄物の組合理事も兼任。
廃棄物業界を盛り上げようと地方の業者と連携。得意分野はITツールにて生産性を高めること。
これからの若い人材が業界で働きたくなる魅力づくりに奮闘中。

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